- かす
- I
かす【仮す】(1)仮に与える。
「然れども些少も之に権力を~・すべからず/明六雑誌 6」「~・すに時日を以てす(=時間ヲ与エル)」
(2)罪をゆるす。 見逃す。 仮借(カシヤク)する。「苟(イヤシク)も其罪を~・すことなからしめば/新聞雑誌 54」
〔(1)は「貸す」とも書く〕‖可能‖ かせるIIかす【化す】※一※ (動サ五)〔サ変動詞「化する」の五段化〕「化する」に同じ。「一夜にして荒野と~・す」
‖可能‖ かせる※二※ (動サ変)⇒ かするIIIかす【呵す】⇒ かするIVかす【和す】(1)他のものととけ合った状態にする。 調和させる。 わする。「虫声の喞々に~・して/蜃中楼(柳浪)」
(2)なごませる。 やわらげる。V「人ノ心ヲ~・スル/日葡」
かす【嫁す】※一※ (動サ五)〔サ変動詞「嫁する」の五段化〕「嫁する」に同じ。「どこにも~・さないで一生を終えた」
※二※ (動サ変)⇒ かするVIかす【架す】※一※ (動サ五)〔サ変動詞「架する」の五段化〕「架する」に同じ。「橋を~・す」
‖可能‖ かせる※二※ (動サ変)⇒ かするVIIかす【淅す・浸す・漬す】(1)水に浸す。 水につける。「秋刈りし室のおしねを思ひ出でて春ぞたなゐに種ぞ~・しける/堀河百首」
(2)米をとぐ。 [名義抄]VIIIかす【滓】※一※ (名)(1)液体の底にたまる沈殿物。 液体をこしたあとに残る不純物。(2)必要な部分を取ったあとに残るもの。 くず。(3)ねうちのないもの。 ひどくつまらないもの。「バーゲン-セールで~をつかまされた」「人間の~」
(4)花合わせで, 一点ふだ。 かすふだ。※二※ (接頭)〔近世語〕人を表す語に付いて, あなどりの気持ちやののしりの気持ちを表す。IX「~客」「~奴(ヤツコ)」
かす【痂す・悴す】⇒ かせるXかす【科す】※一※ (動サ五)〔サ変動詞「科する」の五段化〕「科する」に同じ。「実刑を~・す」
‖可能‖ かせる※二※ (動サ変)⇒ かするXIかす【糟・粕】〔「かす(滓)」と同源〕もろみから酒をしぼり取ったあとに残るもの。 漬物などに使う。 酒かす。~を食・う小言を言われる。 しかられる。 主に, 演劇関係で使われる語。XIIかす【課す】※一※ (動サ五)〔サ変動詞「課する」の五段化〕「課する」に同じ。「重税を~・す」
‖可能‖ かせる※二※ (動サ変)⇒ かするXIIIかす【貸す・藉す】(1)あとで返してもらう約束で一時的に品物・金を他人に渡したり使わせたりする。⇔ 借りる「本を~・す」「一万円~・す」「学生に部屋を~・す」(2)自分の知恵や能力を, 他人のために使う。「君の知恵を~・してもらいたい」「会社再建に力を~・す」「手を~・す」「弟に肩を~・してもらって医者へ行った」「耳を~・す(=他人ノ発言ヲ聞ク)」「顔を~・す」
〔近世以前は多く「借す」と書いた〕
Japanese explanatory dictionaries. 2013.